BWV846 Prelude 分析

2025-03-01

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平均律クラヴィーア曲集のプレリュードがどういう構造になっているのかを分析します。
個人的に般若心経とか4つの福音書並に基本的な要諦が詰め込まれている印象です。

これは自分のためのメモなので、誰か他の人が読んで勉強することを想定していません。内容は正確でない可能性が大いにあります。

僕はジャズ系の音楽理論のほうがわかりやすかったのでそっちで理解しています。なのであえてそういう語彙で話します。

冒頭のII-V-I

まず冒頭はII-V-Iから始まりますね。
ドミナント進行が理論の軸になるよということが分かります。

C△ > D-7 > G7 > C△7 という流れですが、D-ではなくD-7なので、暗い感じは薄く、比較的ずっと明るい感じです。 ベース音がCなのもあって安定感があります。
この曲は以降も7thの音を一番下で鳴らすことが多いです。そうすることで濁り感は強く出つつも、なんのコードなのかははっきりする印象があります。

トップノート

トップノートの動きは3rd, 3rd、7th、3rdという感じですね。
3rdはメジャーかマイナーかを決定する音なので、メロディに使うと情感が強く出ます。この曲はひたすらアルペジオなのでメロディではないですが最高音で使っているので近い効果がありますね。逆にrootや5thは力強い代わりにちょっと立体感が薄れます。
基本のキから始めるとしたらやはりトップノートは3rdから始めたいところです。

メロディについて

また、個人的にですがメロディが半音動く瞬間に強い物語が発生する感じがあります。半音の不安定と安定を行き来する効果によるものだと思っています。逆にいうとペンタトニックの持つ安定感というのは不安定な半音の動きを含まないからですね。
EからFにトップノートが動くことで、やはりちょっと吊り上がった感じになります。スケールの中でIVとVIIは単体でもちょっとだけ不安定さがあって、IVを鳴らした瞬間にIIIかVに動きたいような感覚が僅かに生まれます。

G7のときのトップノート

そしてG7のときのトップノートは7th。さっき鳴らしたFを維持しているだけなので滑らかかつ、ドミナント感が強いですね。
やはりドミナントセブンスを鳴らすときは7thがトップで鳴っているとはっきりとコードの特徴が出ます。

3度下のマイナーからのII-V-I

次にC△からA-に行きます。ここ以外にもメジャーから3度下のマイナーに動く場面が出ます。ドラマチックな感じがしますね。
いわゆる王道進行はIV-V-III-VIですが、ここのIIIも3度下のマイナーですよね。ここで急に陰ってドラマチックな感じが出てると思います。理由はわからないですが3度下のマイナーはドラマチックなのかもしれないです。

一気に音域が広がっているのもポイントですね。音が密集していたところから広いところに動くとやはりダイナミクスが感じられます。

セカンダリードミナント

A-からD7に動き、V△に着地します。これはII-V-Iですね。A-を鳴らしたことで、スムーズにD7に動くことができたわけです。
ちなみに王道進行の方もIIIのあとはVIを鳴らしていて、5度下の和音ですね。こっちはセブンスではないですが、セブンスにしても大丈夫です。色々やれると思います。

いわゆるセカンダリードミナントです。結構早い段階で出てきました。

Iからの選択肢はII- > V7 > I△ の他にVI- > II7 > V△ もあるよということが分かりますね。

属調への転調

そしてこれは属調への転調の常套手段だと思われます。僕はクラシックに詳しくないのでよく分かりませんが、属調に行って戻ってくるのはあるあるな気がします。VI- > II7 > V△ をやったらそれができるぞということが分かりますね。

そしてV△もVI-のときと同様のボイシングです。V-Iの着地でもかっこよく鳴らしています。

トップノート

3つともルートです。3rdは響きが豊かになると言いましたが、rootはなんの和音なのかはっきりします。
なんでここでrootが続くか考えると、やはり転調する場面だからだと思われます。こうするとどこからどこに行ったのかはっきりしますよね。

逆に言うと、別の音をトップノートにしたり、メロディでFもF#も鳴らさないでいると、いつの間にか動いてたみたいな感じにすることもできると思います。
II7のときにトップノートで7thを鳴らせばセカンダリードミナントだな~って感じが出せると思います。ジャズだとこっちかも。

4度上のメジャーセブンス

属調に転調したので今後はGをIとして話します(そのほうが機能がわかりやすいので)。

今度はIV△7に移動しました。-7と比べて△7のほうがちょっと陰りが強い感じがするのは、おそらく半音のぶつかりがあるからですね。
△、-7、-、△7の順に陰りが出てきます。そしてこの曲は完全にその順番に登場してますね。

しかもオクターブ離したりせずに隣り合わせで弾いているのでしっかり音が揺れます。

3度下のマイナーセブンスからのII-V-I

IV△7の7thを全音下にずらしてII-7に移動します。
3度下のマイナーはすでに登場しましたが、今度は-7ですね。△7の陰り感が緩和されました。

そこからV7 > I△ です。
そしてここで一区切りという感じになります。

トップノート

ここでもII-V-Iの間3rd, 7th, 3rdですね。

ディミニッシュセブンス

ここで初めてo7が出ます。ディグリーネームでこう表すのが正しいのかはわからないんですが、Io7ということにしておきます。

o7はやっぱり険しい感じの音なので、一気に陰りますね。

ところでここまでほとんど初登場の和音や進行が立て続けに出ていることに気づきましたか? 般若心経のようだといったのはこれが理由で、教義を超圧縮して詰め込んでいる印象があります。

I△ > Io7 > V- です。今度は属調の同主調であるVマイナースケールに転調できるパターンが提示されました。VIIbメジャースケールにも行けるということを同時に意味します。

これでD-までたどり着きました。

パッシングディミニッシュについて

ちなみに、I > II のパッシングディミニッシュはI#o7です。
今回のo7はIからVへの移動でした。つまり5度上に移動しています。で、VからIIは同じく5度上行ですね?
I#o7はVの音を含んでいます。o7はどの音をルートにしてもいいんでした。ということはVo7でもありますね?
ということは5度上に進んでIIに進めます。ということでI > I#o7 > II が使えるというわけです。

ヤバいコードなんですよディミニッシュは。

もう一度ディミニッシュセブンス

またo7です。今度はDo7。

そこからC△に行きます。考えてみればDo7はG7のルートがシャープしたやつで、大事な3rdと7thはそのままですから、当然Cにいけますよね。
ちなみにDをフラットさせることもできて、そうするとG7の裏コードDb7の完成です。

そして先ほどとは違い、ディミニッシュのあとに進む先がメジャーになっています。ディミニッシュはマイナーだけでなくメジャーにも行けるということですね。
試しにFB > EC という順に鍵盤を押さえてみるとよく分かると思います。この半音進行さえあれば進めるので、間に挟まれるのがGでもAでもよいのです。FBだけでなくFG#Bと抑えてみると更に良くわかります。FBだけでなくG#もどこかに進みたいところですが、GとAの間なのでどっちに進んでもいいのです。

下属調への転調パターン

今どの調にいるのか分からなくなってきましたが、GをIと考えると、二回ディミニッシュを挟んでIからIVに移動しています。
I > Io7 > V > Vo7 > IV

というわけで下属調にできました。IからVに行ってまたIに戻ってこられたわけですね。
戻ってきたいときはディミニッシュ使うと簡単に戻ってこられるよということが分かりました。
ちなみに、Vo7はI#o7と同じと言いました。IからIIへのパッシングディミニッシュのときにIからI#o7へは進行できることは確認済みです。なので色々経由しなくてもI > I#o7 > IVという動きもできると思います。うまく聞こえるかどうかはボイシング次第ですかね。
あとそもそもIからI7もいけるので、それで手軽にIVに行くこともできます。
また、IもIVも普通に同じスケールの中にあるので、普通にIVを鳴らしただけと見せかけて知らんうちにIVがIになってるみたいなこともできそうです。

トップノート

o7はトップノートが何度とか語ることができないので置いておくとして、それ以外の解決先はどちらもrootです。
なのでディミニッシュが連続で来ても割と迷子になりにくいですね。
3rdがベースに来てるのもいいですね。これもなんのコードなのかはっきりします。

ここから先もまだまだ続くんですが、体力の限界が来たので一旦ここまでにします。